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web拍手・日記コメントへのお返事はこちらでさせていただきます。※突発的にエロもあるかも。
涙のキスだけ、貴方を好きになる。【前編】 ヒバ→←ツナ
朝から書類の整理をしていたら、イキナリ応接室の扉が開いた。
そこには、サワダツナヨシが立っていた。それも、大きな荷物を抱えて。
「ヒバリさん、おはようございます!」
「おはようっていう時間じゃないと思うけど」
「あ、もう10時ですね…」
「それで、僕に何か用?闘かいにきたなら歓迎するよ」
「そ、それは遠慮させていただきます。オレはヒバリさんに会いにきただけなんです!」
「……は?」
「今日一日、ヒバリさんのお仕事を手伝いにきました!」
この草食動物は何を言ってるんだ。僕に会いたいって意味が分からない。
そもそも、僕はこの子とそんなに仲がいいわけじゃない。赤ん坊絡みのトラブルに巻き込まれる時はあるけど。あとは校内で時々すれ違ったり、彼が不良に絡まれた時に相手を咬み殺すくりらいだ。別に彼を助けたりしたわけじゃない。ただ、風紀を乱す奴らを咬み殺しただけだ。
でも「ありがとうございます」と言われた時は悪い気はしなかった。
でも目の前の沢田は様子が違う気がする。
いつもは怯えてばかりなのに、今日はニコニコと笑ってばかりだ。
それになにか決心したような、そんな強さを秘めた目をしている。
「また赤ん坊からなにか言われたの」
「今回リボーンは関係ありません。今日はオレの意思です」
「ふうん、なにか企んでるってわけじゃなさそうだね」
「あの、やっぱり迷惑でしたか?闘うこと以外なら何でもするので傍にいさせてください。お願いします!」
「じゃあ、そこにある書類を資料室まで運んで」
元気よく返事をしてプリントを抱えた沢田は走り出す勢いで応接室を出て行った。
そこまで急がなくてもいいのに。たぶん途中で転ぶに違いない。いつも何もないところで転んでるから。
僕は再び書類に目を通しながら気づいた。なんで彼を追い出さなかったんだろう。僕は群れるのがキライだ。誰かと一緒に居るだけでイライラするし、ムカついてくる。
でも沢田は、別にいい。と思ってしまった。
なんでだろう。あの子が笑うと悪い気はしない。今日くらいなら彼を利用して仕事を終わらせてもいいかな。気に入らなかったら咬み殺せばいいし。
15分後、顔と腕に擦り傷、足をくじいた沢田が戻ってきた。
理由は分からないけど、無性に腹が立って手に持っていたプリントの束で頭を叩いた。
「なんであんな簡単な仕事もできないの。しかも怪我までしてバカじゃないの」
「あははっ…すみません。階段の上でプリント落としそうになってそれで…」
「あんな紙切れを必死に守ってどうするの。それで怪我してるなんて君ホントバカだよ」
「バカなのは分かってます。でもヒバリさんの大事な書類を汚すよりはマシです」
「ただのプリントのためにそんなことしなくていいよ。それよりもそこ、座ってなよ」
「これくらいの怪我大丈夫ですよ。いつものことだから。それよりも、他にお仕事はありませんか?」
「これ以上、足手まといになられたら迷惑だ」
「でも、」
「僕の命令が聞けないの。5秒以内に座らないと咬み殺すよ」
トンファーを取り出すと「ひっぃ!」と小さく悲鳴を上げた。うん、いつもの沢田だ。
それから足をひょこひょこ引きずりながらソファーに座った沢田をおいて、ある場所へ向かった。
保健室から湿布をもってきたら沢田が「ヒバリさん風邪でもひいてるんですか!?」と言ってきたから頬を抓ってやった。思いっきり引っ張ってやったのに涙目で見上げた沢田が笑っていて調子が狂った。
それから、沢田には書類に印鑑を押す作業をさせた。時々会話をしながら。
「ヒバリさんは休日は何をしてるんですか?」
「好きな食べ物はあります?あ、キライな食べ物も」
「あの黄色い小鳥って並中の校歌を歌ってたんですけどヒバリさんが教えたんですか?」
質問ばかりされて正直疲れた。なんでそんなに僕の事を聞きたがるんだ。
とりあえず、日曜は並盛の巡回。好きな食べ物はハンバーグ。キライなものはない。校歌は僕が教えた。と質問には答えてやった。
「じゃあ君は?」と聞こうとしたときに時計に視線をむけると12時を過ぎていた。
お腹もすいたし出前でも取ろうかと思って携帯を出すと沢田が持ってきていた包みをテーブルに置いた。
「オレ、弁当作ってきたんです。もしよかったら食べてくれませんか?」
言い方は下手にでてるけど、明らかに食べて欲しいという雰囲気だ。
まぁたまにはそういうのもいいかと思って携帯をしまった。
それから沢田が持ってきた重箱に入った弁当をふたりで食べた。
半分は彼の手作りらしい。卵焼きは少し焦げていたけど、甘くて美味しかった。
「ちゃんと練習すれば見た目もよくなるんじゃない?上手くできたらまた持ってきなよ。」と言うと、彼は「そうですね、がんばってみます」と笑っていた。
でも、少しだけ泣きそうになっていたのは気のせいだったのかな。
<後編へ続く>
長くなったので二つに分けますね~
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