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web拍手・日記コメントへのお返事はこちらでさせていただきます。※突発的にエロもあるかも。
「オレ、ヒバリさんのことが好きです!付き合ってください!!(緊張と不安で涙目)」
「いいよ。付き合ってあげても」
「え…?いいんですか?」
「何、イヤなの」
「そんなことないです!よろしくお願いしますっ!」
「うん」
こんな会話をしたのが昨日の放課後の応接室。咬み殺させることを覚悟して告白したらヒバリさんと付き合えることができた。夢なんかじゃないかと頬を抓ってみたが痛かった。抓りすぎて少し紅くなったけど。
その日の夜は一睡もできなかった。だって目を閉じて次に目を開けて夢オチでした☆というのもあるかもしれないと思ったからだ。でも、朝の服装検査の時にヒバリさんからあいさつをしてくれた。「おはよう」「おはようございます」そんな短いやり取りでも嬉しかった。夢オチだけは避けられた。
それからすぐに後ろから山本と獄寺くんが来て会話は終わってしまったけど、もしかしたら廊下ですれ違った時にまた話しかけてくれるかもしれないから特に気にしていなかった。だからそのまま3人で教室に向かった。ヒバリさんがオレの事を見ていたとは知らずに。
その日一日、ずっとそわそわしていて先生の話も半分くらいしか頭に入っていなかった。休み時間と移動教室、昼休み。全ての時間に期待をしてヒバリさんと会えるとこと心待ちにしていた。でも、放課後まで一回も会うことはなかった。だから我慢できずに放課後、応接室に行くことにした。付き合ってるんだから一緒に帰ってくれるんじゃないか。そんな安易な考えはすぐに消えてしまったけど。
「あの…ヒバリさん、いますか?」
「……なに。」
「よかった。あ、風紀のお仕事ですか?」
「見て分からない?」
「え…そうですね、すみません…」
「それで何か用?」
「えっと、もしよかったら一緒に帰りませんか?」
「なんで?」
「なんでって…」
「君には仲がいい友達がいるだろ」
「だって、オレたちお付き合いしてるし…」
「僕は忙しいんだ。いつもの二人と帰ればいいだろ」
「なんで、そんな言い方するんですか…オレ何かしちゃったんですか?」
「………。知らないよそんなの。」
ヒバリさんはオレと目を合わせることもなく冷たい言葉と突きつけた。知らないって意味が分からない。オレは今にも泣いてしまいそうな顔を見られたくなくて後ずさる。後ろ手で扉を開け、応接室を出て行った。きっとオレはヒバリさんに遊ばれたんだ。付き合うなんて最初から嘘で、好意を寄せているオレの事をひまつぶしの対象にしたのかもしれない。昨日ヒバリさんが「君の片想いに付き合ってもいい」といったのをオレが勘違いして、自分のいいように解釈してしまったんだ。
本気で人を好きになったのは初めだった。それなのにこんな振り方はない。酷い、酷すぎる。それでもヒバリさんのことは嫌いになれない。こんなにも好きなのに報われない。最初から分かってたはずなのに。
人けのない廊下にうずくまっているとランボの泣き声が響いた。振り返ったときには遅かった。向けられた10年バズーカから発射された弾はオレに命中し、10年後へと飛ばされた。
目を開けると、そこは見覚えのある地下アジトの廊下に立っていた。足元にはイタリア語で書かれた数枚書類が散らばっていた。それを拾い集めようと手を伸ばすと大人の手が伸びてきた。見上げた先、10年後の雲雀さんが方膝をついていた。スーツ姿の大人の雲雀さんと目が合うと心臓がドキリと跳ねた。
「やぁ、懐かしい姿だね」
「ひばり、さん…」
「あのバズーカにあたったんだね。5分で戻るんだっけ?」
「た、たぶん…」
「それなら今のうちに言っておかないといけないね」
「なにを、ですか…?」
「僕は昔も今も君の事が嫌いだよ。」
「中学の頃に僕と付き合いたいって言ってきたよね。あれが人生で一番最悪な記憶なんだよ」
「…っ、」
「だから帰ったら”僕”にちゃんと言ってよね”告白は冗談でした。すみません”って」
「気持ち悪いんだよ」と突き飛ばされた拍子に肩を床にぶつけた。その痛みも分からないほどオレは泣いていた。一日に2回もフラれるなんて。しかもヒバリさんの本心を聞いてしまった。オレはからかれていただけじゃない。嫌われていたんだ。オレは、ただ謝ることしかできなかった。不快にさせてしまったこと。10年経っても忘れられない最悪な思い出を作ってしまったこと。
「ごめん、なさい…オレのせいでヒバリさんがそんな想いするなんて思ってなくて…ごめんなさい…っ」
「ちょっと、なに泣いてるの」
「あ、あれ…雲雀さんは…?」
「僕が何。」
「戻ってきたんだ…」
「いつまでそこにいるつもり。帰らないの」
「帰り、ます…」
「それなら、」
「ヒバリさん、昨日オレが言った事は全部忘れてください」
「…なにそれ」
「あれはその冗談です、冗談!オレの事気持ち悪かったら咬み殺してもいいですから。その覚悟はできてます」
「今さら何言ってるの。」
「冗談なんて許さないよ。やっと手に入れたのに」
力強い腕の中で聞こえた震えた声は幻聴なのかもしれない。だってヒバリさんがオレの事抱きしめてくれるなんてありえない。オレはヒバリさんに嫌われてるんだから。
***
「骸。その格好、なに?」
「おや、バレてしまいましたか。君の超直感は相変わらずですね」
「ヒバリさんの姿でその話し方止めてくれない?体がゾワゾワする」
「いいじゃないですかこれくらい。こうしているといつもの君たちみたいでしょう?」
「綱吉に触るな。変態パイナップル」
「ヒバリさん、おかえりなさい」
「ただいま。この変態に何かされなかった?」
「オレは大丈夫ですよ。だた、10年前のオレが」
「ああ、あの時か」
「はい。10年前のオレじゃ骸が幻術で雲雀さんになりすましてたなんて見破れないけど、10年前のオレにもヒバリさんがいますから大丈夫ですね。」
「そうだね。今もこうしているってことは未来は変わってないってことだからね」
「でもあの頃からヒバリさんってヤキモチやきですよね。獄寺くんと山本と話しただけで不機嫌になってましたよね」
「誰にでもヘラヘラしてる君が悪い」
「そうやって言ってくれればいいのにヒバリさん黙ったままだったから不安になって夜も眠れなかったな~」
「悪かったよ。僕も若かったからね」
「あの、二人とも僕の存在忘れてませんか?」
「「知ってるよ」」
「分かってて無視するなんて酷いじゃないですか!」
「「10年前の綱吉(オレ)を泣かせたからだよ」」
全ては10年後の骸の企みだった。それを知るのはまだまだ先の話。
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