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web拍手・日記コメントへのお返事はこちらでさせていただきます。※突発的にエロもあるかも。
● クリスマスなんて。
今年も残すところあと一ヶ月という時だった。
「はぁ!?雲雀さんに彼女!!?ありえねーって!」
「俺も見間違いかと思ったんだけどリーゼントじゃない学ランの黒髪っていったらあの人以外にいないだろ?」
「確かに…で?どんな女だった?」
「商店街で見たんだけど茶髪の美人だった。背も高かったし大人の女って感じだったな。あとさ、」
「別れ際にキスされてた。あの雲雀さんが、だぜ」
そんなクラスメイトの最後の言葉が耳から離れなかった。この会話を聞いたのが昼休み。オレは用事もないのに商店街に行ってなにがしたかったんだろうか。
話の内容は信じられないものばかりだったけど、まさかあの雲雀さんに恋人がいたなんて。オレはヒバリさんのことを誤解していた。いや、数ヶ月前からヒバリさんの優しさに気づいていた。不良に絡まれたときは助けてくれるし、遅刻も何度か見逃してくれた。少しずつだけど距離が近くなっていたような気がしていたからだろうか。
ヒバリさんに彼女が出来てショックだったのかもしれない。
その夜の睡眠時間は2時間で、次の日の授業は寝てばかりだった。
***
25日。クリスマスパーティーは盛り上がって夜の9時まで続いた。母さんの料理は美味しかったし、京子ちゃんとハルが作ったケーキはすぐになくなってしまった。山本や獄寺くんはもちろん。お兄さんやディーノさんまで来てくれた。黒曜のみんなが来たときには驚いたけど、骸が見せてくれた幻覚のイルミネーションは凄く綺麗だった。
楽しかったはずなのに、パーティーの最中ずっと窓の外が気になっていた。もしかしたらヒバリさんが来てくれるかもしれないなんてバカなこと考えている自分がいて虚しくなった。ボンゴレのトラブルに巻き込んでしまって結果的に助けてもらうことはあっても別にオレとヒバリさんは特別な関係でもなんでもない。
「はぁ…」
「なんだあれくらいで疲れたのか。だらしねーな」
「別にそんなんじゃないよ」
「そういえばさー」
「なんだ?」
「ヒバリさんって、呼んでなかったの?」
「一応、声はかけたぞ。まぁ、この時期は取り締まり強化するって言ってたからな。忙しかったんじゃねーのか」
「そう、なんだ…そうだよね」
「なんだやけに残念そうだな」
「そっそんなことないって!」
必死に首を振ってもリボーンにはバレてるに違いない。「俺はもう寝るぞ」とハンモックに飛び乗ってすぐに寝息が聞こえてきた。オレは電気を消して布団に潜り込んだ。
もう一度、窓の外を見ても街頭の光がぼんやりと差し込んでくるだけだった。
きっと今頃ヒバリさんは彼女といるんだろうな。
だってクリスマスはそういう日だ。ヒバリさんと彼女が並んで歩いている光景が浮かんで泣きそうになった。顔を枕に深く埋めてその場面を必死にかき消した。
それから30分が経った頃。閉め忘れた窓から冬の冷気が入り頬を突き刺した。あまりの寒さに目が覚めて瞼を開けると誰かが顔を覗き込んでいた。
「やあ。もう寝てたの」
「ひ、ヒバリさん…!?な、んで」
「なんでって今日はクリスマスなんだろ?」
「そうですけど…」
「昨日、君が僕に会いたいって思ってるって赤ん坊から聞いた」
「えっ!!?なっ!リボーン!!」
「赤ん坊起きてるの?」
「えっと、寝てるみたいです」
「それよりも否定しないってことは本当に僕に会いたかったの?」
「……そ、それは…」
「やっぱり面白いよ、君。来た甲斐があった」
「え…」
「あとは何をしたら君は喜ぶの?これからどこか出かける?イルミネーション綺麗だったよ」
「………帰って、ください」
「…なに。嫌なの?」
「どうせオレは独り身で寂しい奴です。そんなの最初から分かってます。別にクリスマスだからって特別な日だなんて思ってません。でも想うくらい、いいじゃないですか。ヒバリさんにとっては暇つぶしかもしれませんけどオレは…っ!」
「そんな意味で言ったんじゃないよ」
「ヒバリさんなんか、きらいです!帰ってください!!」
ただ、からかいに来ただけなんて酷過ぎる。ヒバリさんが会いに来てくれて嬉しかったのにそれもすぐ絶望へと変わった。どうせ今まで彼女と一緒にいたくせに。片思いのオレを笑いにきたんだ。ひどい。ひばりさんなんて、きらいだ。
力では到底かなわないヒバリさんを追い返すことはできない。だからオレは布団を頭から被って全てを遮断した。
顔も見たくない。声も聞きたくない。
それは人生最大最悪のクリスマスだった。
続く…?
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