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web拍手・日記コメントへのお返事はこちらでさせていただきます。※突発的にエロもあるかも。
ネコ耳なヒバリさん×飼い主ツナ
5年前、オレはヒバリさんを拾った。
あの日はバケツをひっくり返したような土砂降りで傘をさしていても足元は水が滴るくらい濡れていた。学校から帰る途中、ゴミ置き場から小さな泣き声がした。傘を叩きつける雨音にかき消されそうになったけど、それは確かに聞こえた。
「確か、この辺りから聞こえたような…あっ!!」
「………にゃ」
そこには、今にも潰れそうなダンボールの中に黒い一匹のネコがいた。両手におさまるような小さな黒猫。ぐったりとした身体で、小さく呼吸をしていた。長時間雨に打たれて弱っている。だって今にも死んでしまいそうだった。オレはその場に傘を起き、その仔猫を抱きかかえて家まで走って帰った。
それから、濡れた身体をタオルで拭いた。しばらくたつとオレの指についた牛乳を舐めた。生きてる。やっとその実感が味わえて、ほっとした。
その日、子猫の様子を見ながら朝を迎えた。
次の日、母さんを何とか説得して仔猫を飼えるようになった。
この仔猫の名前はヒバリさん。オレの一番の家族になる人だ。
そして、ヒバリさんは普通の猫ではなかった。
ヒバリさんを拾ってきた日から数週間が経った頃。
オレが小学校から帰ってくると、玄関で黒髪の青年が出迎えてくれた。
「おかえり綱吉」
「…あの、どちらさまですか?」
「なに言ってるの。僕だよ」
「…?」
「君、僕の事忘れたなんて言わせないよ」
「も、もしかして…ヒバリさん…?」
「うん」
動物の成長は人間に比べて早いとはきいていたけれど、ヒバリさんはイキナリ半分人間になっていた。
その時のことはよく覚えている。髪と同じ色の耳としっぽがあるヒバリさんにオレは一目惚れしたからだ。なんていうか、もともとヒバリさんのことは家族みたいだったけど、より人間に近いヒバリさんはカッコよすぎなんだ。
でもどうして急にこんなことになったのか本人に聞いても「知らない」と答えが返ってくるし、なんでも頑張れば普通の猫にもなれるそうだ。現にオレや母さんの前以外では猫のままだった。
それから2年後オレは、リボーンという家庭教師のスパルタ教育の一環でイタリアに行くことになった。オレは必死で抵抗して、何度もリボーンに「行きたくない」と言った。だってヒバリさんと離れてしまうからだ。早くて一年。オレの学力じゃ5年かかると言われてしまった。そんなの酷すぎる。ヒバリさんがいない生活なんて考えられない。いや、考えたく無かった。
それでも、勉学は学生の本分。また中学生だったオレにとって拒否権なんてあるわけなかった。
イタリアへ行くことは最後までヒバリさんに言えなかった。でもこのまま黙って行くなんてもっとできない。
出発前日。勇気を出してオレはヒバリさんに伝えようとしたが、それは叶わなかった。ヒバリさんは風邪を引いてしまって、とても会話できる状態ではなかったからだ。ぐったりとベッドに寝ているヒバリさんを見て初めて出逢った日を思い出した。外は雨。よりリアルに記憶が蘇る。
それでもあの時とは違う。ヒバリさんはオレの事、名前で呼んでくれる。お風呂も寝ると時も一緒だ。ヒバリさんが猫のときはオレの膝に乗ってくるし、人間になる時はオレを抱きしめてくれる。
それも、もうしばらく出来ないんだ。ひとりになることを想像したら堪えていた涙がこぼれた。
離れたくない。ずっと一緒にいるものだと思っていたのに。
オレは、ヒバリさんのことこんなにも好きになってる。だけど、明日から隣にはもうヒバリさんはいない。
想いも伝えられずに、離れしまう。それならせめて、想い出が欲しい。遠く離れていてもヒバリさんとの想い出を大事にするから。
オレはヒバリさんにそっと、キスをした。
一日でも早く帰れるようにオレは勉強を頑張ります。
だから、待っていてください。ヒバリさん。
さよならは言わない。
「いってきます。ひばりさん」
<続く>
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