×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
web拍手・日記コメントへのお返事はこちらでさせていただきます。※突発的にエロもあるかも。
◆ 25歳雲雀×23歳綱吉(社会人パラレル)
真夏の日差しが眩しい午後、僕は携帯ショップに来ていた。
コンビニに群れていた不良を咬み殺している途中、携帯を落としてしまい壊してしまったからだ。よくある事だから気にしないけど。
でも、仕事をする上で欠かせないものだから買い換える必要があった。
いつもは哲に任せているが、今日はたまたま帰り道に携帯ショップを通ったため立ち寄ったのだ。
僕が店に入った瞬間、店員は青ざめた顔を無理に笑顔にして新しい携帯を持ってきた。
「雲雀様、こちらの機種でよろしいでしょうか…?」
「うん」
「そ、それではデータを移し変えさせていただきます。手続き完了までに10分ほどかかりますが宜しいでしょうか?」
「5分で終わらせて」
「かしこまりました!!!」
店員は携帯を持ち、慌てて店の奥に行く。
僕は待つのがキライだ。こんな狭い空間で群れるなんてストレスが溜まる。
まぁ、手続きが終わるまでの5分くらいなら涼んでやってもいいけどね。かといって、手元に携帯もないから特にすることはなかった。だから別の店員が持ってきた冷茶を飲みながら店内を見回した。
最新機種の広告のポスターや割引キャンペーンの告知だらけだ。
特に目を惹く内容でもなく、再びガラスのコップに口を付けた時だった。
入り口の自動扉が開き一瞬、夏日特有の生ぬるい風が入ってくる。
そしてスーツを着た少年が入ってきた。
高校生って制服で就職活動してなかったっけ?
もしかして大学生なのかな。
でもあんな茶色の髪で面接を受けようなんて甘いんじゃないの。
僕なら書類審査で落とすけどね。とひとり考えていた。
…ん?別に彼がどんな人間だろうと僕には関係ないはずだ。
どうして、こんなことを思ったかは自分でもよく解からなかった。
ただ、少しだけ興味を持ったのは自覚していた。
彼は僕の隣のイスに座り、店員と話を始めていた。
薄い壁で仕切られてはいたが、声はしっかりと聞こえてくる。
「あの、携帯を落としてから調子悪いんですけど見てもらえますか?」
「はい。液晶画面にヒビが入っていますね」
「きのう、転んだ時にポケットから落としてしまって…あの、修理代金ってどれくらいかかりますか?」
「今回の場合ですと、5千円ほどでできますが、ポイントをご利用されますか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました。現在の残りのポイントを調べてみますので、契約社名義をお願いします」
「えっと、沢田…じゃなかった”ボンゴレ株式会社”になってると思います。これ会社の携帯なので」
「ありがとうございます。少々お待ちください」
”ボンゴレ株式会社”ってあの…?
並盛には僕が経営する風紀財団の他に、勢力を増している会社がある。なんでもイタリアと強いつながりを持つ人物が経営をしているらしい。
それが”ボンゴレ株式会社”だ。今の会話から推測すると彼は社長の息子なのか。
全然そんな風には見えないけど。
「お待たせしました。現在ポイントは23.000Pございますので、5.000Pで修理が出来ますがどうされますか?」
「それじゃぁ修理代はかからないんですか?」
「はい、ポイント還元ができますので」
「よ、よかった~。あ、すみません会社に一度電話してもいいですか?」
「はい。よろしいですよ」
「―あ、営業の沢田です。お疲れ様です。すみません総務の三浦さんをお願いします」
(営業って…この子、社会人?)
僕は思わず背に体重をかけ、彼を見てしまう。
彼は僕の視線には気づかず、携帯電話で話をしている。
「あ、お疲れ様。今、携帯見てもらったんだけど、ポイントで修理してくれるって。うん、だからこのまま預けてもいい?-分かった、それじゃリボーンにはオレから報告するから、手続きお願いできる?ありがと、ハル。じゃあ今から戻るね」
そのあと、彼は店員から代替の携帯電話を受け取りイスから立ちあがる。
「よろしくお願いします」と一礼すると茶色の髪がふわりと揺れた。
店を出て行く彼を目で追っていたら、店員が僕の新しい携帯を持ってきた。
それを受け取り、彼を追うように僕も出口へと向かう。
もう出て行ってしまったかと思ったが彼は扉の前で身体を左右に動かしていた。
センサーの前にいるのに全く開く気配が無い扉。
オロオロと焦っている姿がおかしくて笑いをこらえる。
「…あ、あれ?なんで??」
「ねぇ、邪魔なんだけど」
「あ、すみませんっ!」
さっと横にどけた彼の前を通ると自動扉が開く。
「あ、開いた…!」と後ろで声がして、なんとなく振り返る。
髪の毛と同じ茶色い瞳と目が合って一瞬ドキリとした。
「君、小さいからセンサーが反応しなかったんじゃないの」
「なっ…!!」
真っ赤になった顔とパクパクと何も言えない口が可愛い。
動きが小動物みたいで見ていて飽きないんだろうなと思う。
店を一歩出ると夏日に目を細める。
照りつける太陽がアスファルトに反射して熱が増している。
僕は新しい携帯を開き、哲に電話をかけた。
「あぁ、僕だよ。来週のボンゴレへの商談、僕が行くから」
用件だけを伝え、電話を切る。
商談がこんなにも楽しみなんて初めてだよ。
彼はどんな顔をするのかな。
覚えていないなんていったら一発殴ってやろう。
そんなバイオレンスな考えはいつものこと。
でも、手加減をしてあげようなんて考えたのは初めてだった。
それに次は君の笑顔が見てみたい。
そんな、思考は夏の熱にあてられたからかもしれない。
夏の午後、僕は君に恋をした。
<END>
03 | 2025/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |