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願い事を言うつもりはないのに雲雀さんは毎日綱吉を呼び出しています。前回では言ってませんがこの願い事は独り言を叶えてしまうのを防ぐために特別な紙に願い事を書いて叶えるシステムになります。一つ目の時は雲雀さんは「応接室の掃除」と書いています。
毎日、応接室や屋上で呼び出されては綱吉も早く願いを書いてくださいというのも疲れてきました。雲雀さんは怖い人だけど一緒にいるのは苦痛ではありません。むしろ500年間ずっとランプの中にいて話し相手はリボーンしかいなかったので雲雀さんと他愛無い会話でも楽しい時間になるのでした。
雲雀さんに呼ばれて3週間が経った頃。雲雀さんが腕を怪我してしまいました。不良を咬み殺すときに怪我をしたようです。でも雲雀さんは手当するのを面倒がって保健室にも行ってくれません。綱吉は怪我をした雲雀さんが出血多量で死んでしまうんじゃないかと思ってしまい、泣いてしまいます。
目の前で小さな子供のように泣いている綱吉を見て泣き止んで欲しいと思い、二つ目の願い事を「僕の怪我を治して」と書きました。すると、温かい光に包まれて目を開けると怪我がすっかり治っていました。
綱吉の力で治ったのに「ヒバリさんのケガが治ってよかった」とこんどはうれし泣きをする綱吉を見て、ちょっとだけ心の中が温かくなった雲雀さんなのでした。
でも、その日を境に綱吉が暗い顔をすることが多くなりました。その理由を聞いても答えてくれないのでどうして元気がないのか分からない雲雀さんは最後の紙を使って願い事をします。
少し前に綱吉が「春になったら桜っていう花が咲くんですよね。すっごく綺麗って聞いたので見てみたいんです。」というのを思い出して「桜の木を満開にして」と書いて綱吉に渡しました。
今は真冬なので桜が咲くにはまだ時間があります。なので今すぐ綱吉に桜を見せてあげたいと思ったのでした。
「ヒバリさん、これ…」
「桜、見たいって言ってただろ。この辺りの桜は手入れをしてるから特別綺麗だよ」
「……っ、さくらは春になったら咲くんじゃないんですか?」
「そうだよ。でも今すぐ君に見せたいんだ。ほら、早く咲かせてよ」
「オレの、ため…?」
「君が元気ないと調子が狂うんだよ。何悩んでるか知らないけど君は笑っていた方がいい」
「や、やだ…っ」
「綱吉?」
「できない…っ」
「できないってどういうこと。人を殺す以外は何でもいいんだろ?」
「オレがこれを叶えたらヒバリさんがランプに閉じ込められるんです…」
実は綱吉はもともと人間でした。今から約500年前ランプを落として壊してしまった時に呪いにかかってしまい、本当ならその時に死んでいたはずでした。でもリボーンという魔法使いが力を貸してランプの魔人になって願い事を3つ叶えられる力を持つことが出来たら人間に戻ると契約をしていました。
その願いを叶え終ると叶えた相手を身代りにすることはつい最近知りました。そのせいで綱吉は元気がなかったのです。でもそれを雲雀さんに言うことはできません。言おうとしても呪いの力で声が出なくなるのでした。
今は雲雀さんが願い事を書いているのでもう訂正することもできません。願いを叶えるしかない綱吉は泣きながら呪文とをなえます。こんな条件で願いを叶えることに対して綱吉に怒りをぶつけてもいいはずなのに最後に見たヒバリさんは笑っていました。
真冬の並盛には桜が咲き、桜の花びらが雨のように降りました。
綱吉は人間になり、雲雀さんはランプの中。
なんどもランプを擦っても雲雀さんは出てくることはありませんでした。綱吉で500年かかった魔人になるための修行。雲雀さんなら半分の期間、もしくは100年で終えることができるかもしれません。でも今の綱吉ではもう会うこともできないのでした。
それでもランプを手放すことはできませんでした。
この時代で綱吉は一人ですがリボーンの力で住む家などは与えられて普通の中学生になりました。ランプのことを聞いても「雲雀は修行中だぞ」と答えはいつも同じです。
冬が終わり、春になるまで並盛では桜が咲いていました。それでも5月の初めに振った雨で花弁は散ってしまい青葉に包まれました。
そのあと、ランプから雲雀さんが現れます。綱吉が500年かかった修行を3か月で終わらせて魔人になったのです。そこでランプの仕組みを知っている綱吉は雲雀さんを人間に戻してランプの呪いを消してハッピーエンドです!
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