***
進路も決まって卒業間近のツナは自動車学校に通うことになりました。並盛高校の生徒はその自動車学校に行っています。送迎バスもあるので学校が終わったら夜八時まで運転の勉強をしています。
同じクラスの京子ちゃんとハルは一か月前から通っていて時々話をしてくれていました。
なんでも教えてくれる先生が他の人とは違うようです。その人はヒバリさんという名前で厳い人なのです。しかも群れることを嫌っているようで毎年、複数の生徒を教えることもないし気に食わない生徒はトンファーという武器でボコボコにしてしまうようです。
京子ちゃんとハルはそういうことはされたことはないし「厳しい人だけど教え方は上手だよ」「この前、小鳥さんとお話ししてるところ見てからハルはヒバリさんが怖くなくなりました」と言っています。この二人はちょっとズレて?天然なのでヒバリさんを怖がっていません。
それでもそれ以外の生徒は絶対に近づかないようです。
そして、入校初日。ツナは緊張しながらもバスに乗って自動車学校へ向かいました。必要な書類を受付まで持って行ったら手続きが終わるまで15分ほどかかるようなので校内を見学することになりました。一回は受付とロビーと休憩室。2階は授業を受けるための教室。3階は試験会場でした。一通り見て回り学校の雰囲気に慣れてきて緊張もほぐれたころ廊下で人にぶつかりました。相手は大人の人でツナだけ尻もちをついてしまいます。
謝ろうと顔を上げると黒いスーツを着た男の人は「邪魔」とだけ言ってツナを睨んでカツカツと靴を鳴らして行ってしまいました。
ぶつかったのは自分だし、悪いのは分かっていますがあんな言い方をしなくてもいいじゃん!とムカムカ!!そんな気持ちで階下へ向かい受付のお姉さんに案内されて担当の先生の所へ行きました。
すると、そこにはさっきの人が車に乗っていました。ツナの担当はヒバリさんだったのです。
ツナはヒバリさんの話を聞いた時に女の人だと勘違いしてました。ヒバリ=名前だと思っていたのです。
ヒバリさんが男の人だということと、自分の担当になっていることでビックリしまくりです。
「誰、君」
「あ、えっと今日から教えて頂きます、沢田です。よろしくお願いします」
「やだ」
「え!?」
「僕はこれ以上生徒は受け持たないよ。あの二人で十分だ」
「そんなっオレ…どうしたら」
「知らないよ。そんなの」
「あっちょ、待ってくださ…あー行っちゃった…」
ヒバリさんはツナの言うことは聞かずに車を発進させてどこかへ行ってしまいました。ひとり取り残されたツナは半泣きで受付のお姉さんに事情を話しました。
ヒバリさん以外にも教えてくれる先生はたくさんいますが今は時期的に一番生徒が多く手が空いているのはヒバリさんだけなのです。でもヒバリさんに逆らえる人は誰もいなく、あと2週間たてば京子ちゃんが試験を受けて受かったらツナが教えてもらえるようになると言われてしまいました。
もともと、免許を取るには学科と実技の両方で合格点を取らないといけないので先に学科を終わらせればいいやと気持ちを切り替えて通うことにしました。
一旦ここで切ります!
[0回]
PR