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このボンゴレカンパニーに入社して2年が経った頃。風紀財団という大きな会社との合併話が持ち上がった。というかもう決定しているらしい。しかも明日から。合併の日を知らなかったのはオレだけだったみたいだから余計に驚いた。同期の山本は「小僧から直接聞いてると思ってたからさ~」あはは!と笑いながら隣を歩いている。
「でもさ、イキナリ飲み会とか言われても緊張するよね」
「風紀財団の人たちとの親睦会らしいな。噂じゃヤクザとかそっち関係との繋がりもあるらしいぜ」
「それって大丈夫なの!?」
「んーまぁどうにかなるんじゃね?」
「リボーンのことだから絶対何か企んでるって!」
「ゲームとかあったら盛り上がるよな!」
「嫌な予感しかしないよ!」
社長であるリボーンとは昔からの知り合いだ。一癖も二癖もある人物でいつもからかわれてた。だからあんまりいい思い出はない。そのせいで今回の親睦会という飲み会も開会していかなければならない。去年の忘年会は女装(メイド服)を強制させられたし、その前はパイ投げの標的にされた。あの時はクリームが目に入ったり全身ベトベトになって最悪の一日だった。その時なぜかみんなが写メを撮っていたのは不思議だったけど。
だから今回は何が仕組まれているか分からないから警戒していかないと、ってもう着いちゃった。会社同士の飲み会(しかも相手は大企業)だからホテルの会場でも貸切るのかと思ったら普通の居酒屋だった。
一番奥の座敷からガヤガヤと聞きなれた人たちの声がする。多分、あそこだ。獄寺くんと京子ちゃんのお兄さんがなにか言い合いをしてるから。まぁいつものことだからいいんだけど。
山本に続いて部屋に入るとスーツ姿の黒髪の人と目があった。いや、これは睨まれてる。正直、怖い。とりあえず空いている一番手前の座布団に座って飲み物を頼んだ。お酒はあんまり強くないからオレンジジュースを頼んだら「いつまでたってもガキだな」とリボーンに鼻で笑われた。いいじゃん。おいしいんだから。
そして、簡単な自己紹介の後で乾杯をして親睦会が始まった。風紀財団の人たちは見た目は怖そうだったけど話すと優しい人たちばかりで安心した。あの人を除いて。
雲雀恭弥という人は風紀財団のトップでオレの一つ上の人。目が合うたびにビクビクしながらも彼から目が離せなかった。
その日、一言も話さないまま終わってしまうのはさみしい気がして、でも自分から話しかける勇気もないまま時間だけが過ぎて行った。2次会のカラオケには来てくれたけど何も進展はしなかった。
これから同じ職場になるんだから話すチャンスはあるからいいかと半ば諦めていたとき。チャンスは訪れた。カラオケの途中だけど帰ってしまった彼がいた席に車の鍵が。
「ツナ?どこいくんだ?」
「雲雀さん車の鍵忘れてるみたいだから」
「そっか、でも」
「じゃあ行ってくるね!」
「あー…行っちまった…」
車の鍵ならない事に気づいて戻ってくるだろうし、携帯にかければいいんじゃね?という前にツナが走って行ってしまった。山本はツナの変化に気がついた一人だった。
…続く??
[3回]
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