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web拍手・日記コメントへのお返事はこちらでさせていただきます。※突発的にエロもあるかも。
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ボンゴレ株式会社に入社して一年、ようやく仕事にも慣れ始めた頃。
綱吉は先輩のディーノさんに連れられてホストクラブに行きます。
「オレ男なのになんでホストクラブ!?」と思いながらもお店へ向かいます。夜の街の雰囲気は苦手な綱吉でしたが、店へと続く階段を降りていく途中、一枚の写真が目にとまります。それはホストの顔写真でした。
そして、一番上の豪華な額が縁取っている黒髪の人物に見惚れてしまいます。綱吉はもちろんノンケです。でもその人の写真をみるとドキドキしてしまいます。少し下に視線を向けると”雲雀恭弥”と書いてあります。ホストの名前はローマ字だったり、カタカナのばかりと思っていたのでどこか親近感が沸いてきます。でも苗字が読めなくてディーのさんに聞こうとしたら、腰に手を回されお店の中へ案内されてしまいます。後で聞けばいいかなと綱吉は思い、何も聞かずに席に着きました。
席に着いたディーノさんは慣れた様子でお酒を注文します。そこでホストクラブに来た理由を話してくれます。ディーノさんが飲み屋に行くとほぼ、100%の割合で女の人に声を掛けられてしまい、ゆっくりお酒が飲めないからだそうです。綱吉もそれを聞いて「なるほど」と納得します。しかもこの店は昔から知っているリボーンが経営してるらしいのです。そして、そのあとすぐにお酒とおつまみが運ばれてきます。
綱吉がカクテルを半分くらい飲んだ頃に店内が騒がしくなります。なんだろうと周りを見渡すと、写真のあの人が目の前を通りました。思わず「あっ」と声を出してしまい、相手が自分の方を見てきます。それも睨むような強い視線で。綱吉がびくっと怯えると隣で飲んでいたディーノさんが彼に声をかけました。
「恭弥じゃねーか!久しぶりだな」
「あなたまた来てるの。場違いにもほどがあるんじゃない」
と会話をしています。どうやらふたりは知り合いのようでした。でもケンカ腰のようなやり取りで綱吉はすっかり萎縮してしまいます。ガタブルと震える綱吉に気づいた彼がこちらに来ました。
「あなたってこんな子供に手をだすほど変態だったの」
「違げーよ!いや、確かにツナは可愛いけど、オレはノーマルだ!」
「ふぅん、そう」
「お前全然信じてねーだろ!」
「あ、あの…何の話ですか…?」
「この金髪がホ…、わー!!恭弥なに言い出すんだよ!!」
「うるさい。大きな声ださないでよ」
「ディーノさん、なんでオレの耳塞ぐんですか…?」
「ツナは知らなくていいことだから、気にするな」
「え、あ、はい…」
突然大声を出したディーノさんに両耳を塞がれたツナは状況が全くつかめてません。でも、しっかりとヒバリさんのことは見ています。
(ディーノさんもかっこいいけど、この人もかっこいいよな~サラサラの黒髪きれい…同じようなスーツなのにあんなにかっこよく着こなせるんだ…)
と、思いながらぽーっと見惚れてしまいます。
後から聞いた話によると、彼の名前は雲雀恭弥、NO,1ホストなのに店に来るのは週に1回ほど。指名されても殆ど断ってしまう横柄な態度。でも見た目のカッコよさと、クールな振る舞いに加えて小動物好き(時々ヒバードを肩に乗せてくる)ギャップが女性の心を掴んでいるらしいのです。
ツナはヒバリさんのことをディーノさんから聞いてから仕事中も家にいる時もあの夜のことを思い出すようになっていました。特に会話もなかったのに、また会いたいなと思うようになりました。
でも、ヒバリさんと逢えるチャンスは殆どありません。またあのホストクラブに行っても逢えるかどうかも分からないので。まず第一にツナにはホストクラブに通えるほどお金がありません。ヒバリさんの指名料は最低でも10万だからです。貯金も無い綱吉にとっては大金です。
それでもあと一回でいいから逢いたい。指名を断られてもひと目見るだけでいい。そう思い、綱吉は必死に貯金をするようになります。
きっとディーノさんに言ったら逢うチャンスは増えるかもしれないと分かっていても絶対に言いません。これは綱吉の問題だからです。
その日からツナの節約生活が始まります。今は一人暮らしをしているので、コンニビにはできるだけ寄らずに自炊をします。それだけでは10万円ためるまでに気の遠くなるような時間がかかるので、ご飯の量を減らしたり、暖房器具を使わないようにしたり。今は真冬なので出来るだけ着込んで寒さをしのぎます。そして、嫌な残業も積極的にするようになります。
そんな生活が始まって初めての給料日。今までの節約した分と残業代でなんとか10万円になりました。
綱吉は給料明細をポケットに入れ、仕事が終わるとATMへ向かいました。
今日、あの店に行ってヒバリさんに会えるかどうかは分からないけれどこれ以上待つことも出来なかったからです。
綱吉はお金を引き出した足でホストクラブへ向かいます。その足取りは軽いものなのにどこかフラついていました。
苦手なネオンの光も今日だけは輝いて見えました。
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