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web拍手・日記コメントへのお返事はこちらでさせていただきます。※突発的にエロもあるかも。
#2* * *
秋は学校の行事が多く風紀も乱れがちだ。
今まで通りそういう奴らを咬み殺せばいいだけの話だった。
でも今年は違った。
夏休み明けの体育祭。
秋の合唱コンクール。
文化祭(2日間)。
並盛一周持久走大会。
どれもぶっつけ本番でできるような内容ではない。
だから、最低でもイベントの2週間前から準備をしなくはいけなかった。
別に僕は参加しないから関係ないけど、沢田は違った。
付き合うようになってからの数日は毎日のように顔を合わせ話をした。
応接室に来ることもあったし、帰りは送ってあげていた。
それが、10月の半ばを過ぎた頃。
沢田は準備に追われ会う時間がぐんと減った。
僕は昼休み、放課後と時間をもてあますようになり、ストレスが溜まっていくのが自分でもよく分かっていた。
その時自分の気持ちの変化に気づいた。
沢田がいないとつまらない。
僕の所には来ないくせにあんなにも楽しそうにしている彼を見てムカついた。
あの笑顔は僕だけに向ければいいのに。
独占欲が心を支配する。それは、つまり…
いつのまにか僕は本気で沢田のことを好きになっていた。
文化祭の2日目、彼の姿を見つけると体が勝手に動いていた。
出し物が行われている教室の前で僕は力いっぱい抱きしめた。
僕は君を一秒でも早く充電しないとおかしくなりそうだった。
だって僕は、
「沢田、好きだよ」
一番近くで、耳元で囁くように気持ちを告げるとそれまでジタバタともがいていた彼の動きが止まった。
いや、固まったといった方が正しいのかもしれない。
「…?どうしたの。顔、真っ赤だよ」
「へっ、いや、だって…ひばりさん、いま…」
「なに、聞こえなかったの」
「すき、って…」
「なんだ。ちゃんと聞こえてるじゃない」
「あの、これって夢じゃないですよね…」
「何言ってるの。現実だよ。それとも、夢で終わらせたいことってことなら覚悟はいいかい?」
「ま、待ってください!そういう意味じゃなくて…!」
「じゃあ、何」
「オレ、ヒバリさんに好きって言ってもらえるなんて思ってなかったので…」
確かに”興味がある”と言ったのは僕だけど、そんな風に思われていたなんて心外だよ。
でも、このあとすぐに「オレ、すっごく嬉しいです…!」と抱きついてきた温もりが心地よくてそんな苛立ちもすぐに消えてしまった。
この日から全校生徒公認で付き合うことになった。
ある意味、沢田は僕のものだと認識させるいい機会だった。
そして、その頃からアイツが彼のもとへやって来た。
綱吉の雰囲気が変わりだしたのも同じ頃だった。
「あ、あの先週からオレの家庭教師をしてもらってる骸です。ほら骸この人がヒバリさんだよ」
「ほう、これはまた…始めまして、ですね。雲雀恭弥」
「家庭教師…、その男が?」
「はい、修行をしてもらってるんです。戦闘に関してはリボーンだと手加減してくれないので」
「こんな男じゃなくても修行なら僕が相手をしてあげるからコイツは解雇しなよ」
「そんな!リボーンがイタリアから呼んでくれたんです。だからそんなことできませんっ!」
「おやおや、綱吉くんに頼りにされてないと分かって焦ってるんですか?」
「黙れ。」
「クフ、君は相変わらず感情が剥き出しですね。もう少し大人になってはどうですか」
「は?何、初対面の相手に電波なこと言ってるの。君、髪型といっしょで脳みそもおかしいんだね」
「クフフ、今の君は覚えていないようですね。まぁこれはこれで面白いですが」
「骸、ヒバリさんと知り合いなの?」
「僕はこんな奴知らないよ」
「すみません、僕の勘違いのようですね。では綱吉くん修行の日程はまた今度」
「うん、日にちが決まったら電話して」
「分かりました。それでは、また」
赤ん坊の知り合いなら勝手に咬み殺すことはできない。
だからといって綱吉と二人っきりだなんてさせないようにしたけれど、僕が入り込めない関係になるまでそう時間はかからなかった。
六道骸と綱吉はまるで昔から知り合いのような雰囲気になる。
咬み殺したい気持ちを抑え、僕はそれを遠くから黙って見ていた。
あんなやつでもいなくなれば綱吉が悲しむ。彼は優しいから。
そう、自分に言い聞かせるしかなかった。
知りたくも無かった彼との関係が色あせていたことを知らずに。
告げられた真実は残酷で、僕の心を簡単に壊れさせた。
≪続く≫
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